里・人・かつらぎ

里人とともに守り伝える
修験道はじまりの地

日本遺産「葛城修験」修験道はじまりの地、
山岳信仰の聖地、巡礼の旅。

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葛城修験とは

修験道とは仏教や神道が融合して誕生した日本独自の信仰です。7世紀に現在の奈良県御所市に生を受けた役行者(えんのぎょうじゃ)によって開かれました。神仏の間に生まれた子供のような存在と言われることもあります。

紀淡海峡にある友ヶ島に端を発し、大阪府と和歌山県の境にある和泉山脈、大阪府と奈良県の境にある金剛山地の山々は古くから「葛城」と呼ばれてきました。役行者はまず初めに葛城の峰で修行を詰み、その葛城の峰々を仏法の世界に見立て、法華経八巻二十八品をそれぞれ経筒に入れ各地に埋納し、経塚という聖地にしました。

この経塚と共に、数々の峰や寺社、滝や巨石などを巡って祈る修行やその行場の事を「葛城修験」と呼び、1300年経った今も葛城修験は、世界遺産の一部として認定されている奈良県の大峰山とならび、修験者が必ず修行しなければならない地とされています。

里・人・かつらぎ とは?

修験者である山伏は、理屈や抽象的な概念を排し、修行を通して身体と五感の浄化と魂の再生を図ろうとします。白い装束や長い錫杖、法螺貝などは、一般の登山者から見て気高くおごそかで、雲の上の人という印象を持ちます。

葛城修験で訪れる経塚や行場は、比較的里から近いところが多く一日で里、山、里を繰り返します。山伏たちは「山で修行し、そこで得た験力を里に還元する」ことを意識しており「山林抖擻(さんりんとそう)、擬死再生」という自己研鑽もさることながら、里人とともに守り伝えることが葛城修験の意義であるとされます。

1300年もの間、修験道の聖地として里人と共に守り伝えてきた葛城の地ですが、近現代において我々の生活スタイルが変容するとともに、様々な課題を抱えています。

最初の経塚がある友ヶ島では、世界的な問題となっている海洋ごみ問題という環境問題があり、プラスチックを始めとした大量のごみが漂着します。また山麓の集落には、人口減少に歯止めがかからず、廃村になり歴史に終止符を打つところもあり、数百年続く棚田が消滅の危機に瀕しているといった地もあります。

修験者も里人も、先人が長年築いてきた修験道の聖地を、実際に訪れて共に祈り、里から近くて深い葛城の地にて、令和の時代に生きる我々が今この地から考える「里・人・かつらぎ」の繋がりをも意識できる機会を提供したいと願っています。

私たちの思い

令和2(2020)年6月に≪「葛城修験」-里人とともに守り伝える修験道はじまりの地≫が日本遺産に認定されました。大都市圏内にある大阪、和歌山、奈良の府県境の峰や里にて、1300年以上連綿と受け継がれてきた人々の祈りの歴史。そして今も葛城の峰では、白装束に身を纏った山伏が、山を駆け巡り、法螺貝を吹き、数々の行場にて修行を行っています。

また葛城山麓の数ある里でも、五穀豊穣・天下泰平などを祈る祭礼などが多く行われています。

過去も今も未来も、人の往来が絶えない限り続いていく「葛城修験」とその祈りの歴史。多くの方に葛城の峰や里を訪れて、そこにある自然や文化を感じて頂きたいと我々は願っています。

「六根清浄、懴悔懴悔」修験者は山を登る時、急峻な箇所に差し掛かるとこう唱えて一心不乱に足を進めます。「六根」とは「眼・耳・鼻・舌・身・心」のことを指します。神仏にひれ伏し「懴悔」することにより「清浄」されるそう言った意味の掛け声です。我々が口にする「よっこいしょ」という言葉の語源であるとの説もあります。

普段生活している町を離れて山に入り、この掛け声を唱えると感じる事があります。修行体験を通じて罪や汚れを懺悔し、得られる気づきは六根を通じて必ずあり、心の悩みが晴れることさえあります。恐らくは擬死再生する事により得られる「験力」とは、この体験に通じるものなのでしょう。

時代背景は大きく違うとはいえ、長い歴史の中で多くの修験者が山に伏して祈ってきた、修験道はじまりの地である葛城修験。なぜ祈り、なぜ歩くのか、巡礼を重ねるうちに見えてくる世界があります。

葛城修験はじまりの地である和歌山市加太・友ヶ島。ここに「五所の額」と言われる岩壁に掘られた文字があります。約350年前に紀州初代藩主徳川頼宣の命により、李梅渓という儒学者が掘ったものと伝えられています。

「禁殺生穢悪・友島五所・観念窟・序品窟・閼伽井・深蛇池・剣池」

修験道の聖地、友ヶ島の五箇所は聖なる地であるから、決して汚してはいけない。という意味のお達しです。その当時、どれほど強い意味合いをもったものだったのでしょうか。

令和のいま、友ヶ島は海洋ごみ問題という深刻な問題を抱えています。どうしてこうなったのでしょうか。我々が自然と人間との間に壁を作ってしまったのではないかと思うのです。

葛城修験の地に存在する社会課題。訪れる度に、自然の恵みに感謝し祈る気持ちが足りないのではないか、そう思えてなりません。「里・人・かつらぎ」では、祈りの心を通じて現代の課題や問題をも紐解き、多くの方と連携して共に解決したいと思います。

案内人

益田 次朗

益田 次朗

  • 「里・人・かつらぎ」代表
  • 大阪府知事登録旅行業第2種2615号 株式会社エムジェイ企画 代表
  • (一社)加太・友ヶ島環境戦略研究会

大阪府堺市出身、在住。学生時代より根っからの旅好き。趣味が高じて旅行業界に従事し、自ら旅行会社を立ち上げました。登山歴は約20年。山登りのスポーツ的な側面よりも、その文化、歴史、精神世界などに強い興味を持っています。
環境活動を通じて知り合った加太の方、修験者の方々から影響を受け、葛城修験にも興味を持ち活動しています。日本遺産葛城修験をご一緒に巡りましょう!

田中 昭男

田中 昭男

  • 公益財団法人日本体育協会公認山岳指導員(山岳コーチ1)
  • (一社)大阪府山岳連盟 常務理事/自然環境委員長/山スクール主任講師
  • 赤十字救急法救急員(ファーストエイドプロバイダー)
  • 運動部活動指導認定プログラム (大阪体育大学)修了

登山歴は30年余り、日本全国の山々を登っております。
ガムシャラに登るのでは無く、安全に楽しむことを目的としています。
大阪府山岳連盟では初級者の登山教室の担当をしており、1年間のカリキュラムで安全登山を指導しております。山は苦しむところではなく、楽しみ自然に親しめられる場所です。ツアーを通して、基本的な歩行技術や安全登山を実践しつつ、修験道を体感して役行者に思いを馳せていただきたいと思っています。下山後のグルメとお酒も楽しんでいます!

山内 竜太

山内 竜太

  • (公社)日本山岳ガイド協会認定ガイド

1982年生まれ。大阪府堺市出身。大学で登山ガイドの資格を取得し、登山専門の旅行会社に5年間勤務。2011年からは専業の登山ガイドとして日本各地の山々をご案内しています。
登山は仲間内での意思疎通が大切だと思います。同じ趣向や歩行ペースの合ったお客さん同士の少人数制登山を実施しています。アットホームな雰囲気はお互いの意見や要望を気兼ねなく言える環境に発展し、安全登山につながると考えています。

ツアー動画

クリックすると動画をご覧いただけます。

ツアーについて

「里・人・かつらぎ」の葛城修験ツアーでは、個人では訪れることが難しい行場や経塚等も可能な限りツアーコースに組み込み、葛城修験の全貌に迫ります。

ツアーは日帰りで月に2回、1年間で全16回を予定しておりますが、天候等により困難な場合などは当日に予定を変更したり、番外ツアーを行うこともございます。

コースによって、平坦な箇所もあれば一日で幾つかの峰を越えるハードな日程もあります。観光ツアーではなく、登山コースが中心です。都度ご案内する装備をご準備ください。基本的に10km以上を歩き、1,000m近い標高差を登るコースもあります。

ツアーの集合、解散箇所は回によってことなりますが、JRや私鉄の駅やバス停などに集合し徒歩にて巡るスタイルとなります。コースによっては、行程中にタクシーを利用する場合もあります。

葛城修験に興味はあるものの、山登りが初めてで不安という方もお気軽にお電話などでご相談くださいませ。ヒアリングをした上で、ご参加いただきやすいようにサポートいたします。

ツアーの特徴

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葛城二十八宿と呼ばれる経塚や、行場を巡拝するコースは不安のないアスファルト道もあれば、急峻な傾斜、倒木や草木が生い茂った箇所もあります。

「里・人・かつらぎ」のツアーでは、スタッフ2名に対して、参加者は20名を上限とします。安全を第一に登山ガイドを含めた原則2名以上のスタッフにて皆様をご案内し、コース上の必要な箇所では技術的にしっかりとしたサポートを行います。

またコースによっては現役の山伏が同行するものもあります。詳しくはHPのツアー情報や、お電話等にてご確認ください。

02

「里・人・かつらぎ」のツアーは、企画するにあたって実際に葛城修験のエリアを広く巡り、地域に理解を深めた上でツアーを造成しています。経塚、行場の巡拝をはじめとして、自然や文化、また美味しいものなど、訪れる各地域の名物をも楽しんで頂けるツアーをご提供いたします。

例えば、和歌山市加太の海産物、紀の川市のフルーツ、泉州の玉ねぎや水なすなどを挙げても、豊かな自然に育まれた名産品が数多くあります。

魅力たっぷりの葛城エリアを一緒に楽しみましょう。

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「里・人・かつらぎ」では、葛城修験エリアの行場を巡るツアーのみに終始することなく、未来に向けてこれからの「葛城」を想い考えて、その自然、文化を大切にしながらも発展させたいと考えています。

人が訪れれば訪れるほど、葛城の地域が良くなっていく。ツアーを行うことによって、関わって頂くすべての方や社会が幸せになっていく仕組みづくりを目指しています。三方よしの精神を大切にした魅力を知る機会を、巡礼ツアー参加者のみならず広く一般の方にも提供してまいります。